特集 感染症2
③免疫不全
2.非感染症医にも知っておいてほしいHIVの基礎知識—典型的なプレゼンテーションと診断,併存疾患のマネジメント
谷口 俊文
1
Toshibumi TANIGUCHI
1
1千葉大学医学部附属病院 感染症内科/感染制御部
pp.477-487
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900007
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ホスピタリストにとって,HIV*1感染症は無縁ではない。現在の日本のHIV感染症の診断パターンをみると,いわゆる「いきなりエイズ」で受診する患者は全国平均で32%程度1)と,他の先進国に比べて多いことからもわかるように,いつでもAIDS*2患者の主治医になり得るのである。
また,過去20年間の抗レトロウイルス薬の進化により,HIV感染症は糖尿病のような慢性疾患の1つとなった。そのため,日和見感染症の治療のためにHIV感染者の診療をするというより,心筋梗塞,脳卒中,腎不全や糖尿病などの併存疾患の増悪,高齢化に伴う認知症や誤嚥性肺炎,またはHIV/AIDSとは直接関係のない悪性新生物を治療する機会が増えてくると思ったほうがよい。
本稿では,HIVの基礎知識とともに,診断の手助けになるであろう臨床症状や代表的な日和見感染症について解説する。さらに,加齢に伴い,HIV患者で増加する,あるいは問題となる併存疾患について,ホスピタリストが注意すべき点なども述べる。
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