特集 感染症2
④疾患各論
1.不明熱—いかにして「不必要な不明熱化」を減らし,基本の診療能力をもとに診断のヒントを得るか
佐田 竜一
1
Ryuichi SADA
1
1亀田総合病院 総合内科/内科合同プログラム
pp.489-506
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900008
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
臨床現場で最も頻度高く遭遇する「発熱」の診断および治療は,ホスピタリストにとって必須のスキルである。なかでも不明熱(FUO*1)は,ホスピタリストの診断推論を最も試される分野の1つである。
不明熱の診療で最も重要なことは,次の5点である。
1.普段から問診・診察を重んじ,曖昧な臨床情報を明確化することで「不必要な不明熱化」を減らす。
2.曖昧な診断のもとでの抗菌薬・ステロイド治療を行わないことで,「不必要な不明熱」を生み出すことを避ける(それらがどうしても臨床上必要な治療であれば,万が一,患者の状態が悪化した際には「不明熱化」し得ることを自覚する)。
3.不明熱の定義を理解するとともに,その定義に当てはまる前から,不明性を有する発熱患者を「不明熱」と認識するように心掛ける。
4.不明熱と認識した際に,患者のもつ病歴・身体徴候を再度網羅し,「発熱+α」の情報を拾い上げるとともに,不明熱となりやすい疾患の頻度を知り,それぞれの疾患から想起される症状や所見の有無を整理する。
5.ただ闇雲に検査をオーダーすることなく,診断に必要となる検査を取捨選択して行い,診断精度を高める。
本稿では,この不明熱診療5大原則をふまえて,解説を進める。
Copyright © 2017, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.