特集 Respiratory ECMO 2.0
ECMO合併症を治療段階で整理する
❼ —維持期—VV ECMOにおける肺保護戦略—完全lung restから個別化時代へ
岩永 航
1
Wataru IWANAGA
1
1浦添総合病院 救命救急センター
キーワード:
lung rest
,
low flow ECCO2R
,
至適PEEP
,
腹臥位療法
,
awake ECMO
Keyword:
lung rest
,
low flow ECCO2R
,
至適PEEP
,
腹臥位療法
,
awake ECMO
pp.375-385
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102201192
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はじめに:人工呼吸器とVV ECMOの恩恵
veno venous(VV)ECMOは低酸素や呼吸性アシドーシスからレスキューするためだけの道具ではない。KolobowやGattinoniらは,すでに1970年代よりECMO(体外式膜型人工肺)が肺を人工呼吸器関連肺傷害ventilator induced lyng injury(VILI)から守るための道具である概念を述べていた1)。この50年間にECMO技術と肺保護戦略が進化した今だからこそ,我々はVV ECMOと人工呼吸器の併用戦略を改めて考える必要がある。従来,呼吸を完全にVV ECMOへ依存する古典的な“lung rest”の方法が広く普及してきた。しかし,VV ECMO技術の習熟により,肺の回復期間を最短に促す至適な人工呼吸器設定を工夫する余地が生まれ,肺の状態に応じた肺保護戦略の個別化が問われる時代になっている。本稿では,VV ECMOと人工呼吸器による肺保護の知見を融合させ,重症呼吸不全に対するVV ECMO管理中の肺保護戦略について考えていく。肺を守りつつ,肺の治癒までの期間が最短となるような肺保護戦略を検討しよう。
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