特集 Respiratory ECMO 2.0
ECMO合併症を治療段階で整理する
❸ —導入期—重症ARDS患者に対するVV ECMOの導入とタイミング—ECMO:First“R”
市場 晋吾
1
Shingo ICHIBA
1
1日本大学医学部附属板橋病院 麻酔科・集中治療室
キーワード:
橋渡し
,
肺傷害の可逆性
,
年齢
,
免疫抑制状態
,
右心不全
,
肺移植
Keyword:
橋渡し
,
肺傷害の可逆性
,
年齢
,
免疫抑制状態
,
右心不全
,
肺移植
pp.337-343
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102201188
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はじめに
体外式膜型人工肺(ECMO)は,適切なガス交換を確保し,機械的人工呼吸による生体肺への傷害を大幅に軽減する強力かつ効果的なツールとして確立されてきた。しかし,ECMO関連のテクノロジーは進歩したものの,適切な管理の専門性と複雑さ,多くのマンパワーおよび医療資源,経験数,出血などの深刻な合併症を発症するリスクの高さと適切な対応ができる診療体制等の要因から,いまだ種々の呼吸補助手段における最終手段として位置づけられている。
2024年の現時点でのエキスパート・コンセンサスでは,さまざまな原因による重症急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者に対するECMO導入の適応は,予測死亡率が80%以上と推定される可逆性の病態で,腹臥位療法が効果的でないことが証明された場合に検討される。導入時の患者の病態が重症すぎてもECMOの効果は得られず,軽症すぎても合併症のリスクだけが高くなるため,適切な時期を見極めて導入しなければならない。ECMO治療の成功の鍵は,適切な適応患者に導入する判断ができるかどうかである。さらに重要なのは,単にECMOのデバイスを有しているだけではなく,ECMOのエキスパートが率いるチームがあるかどうかである。
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