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膠原病に伴って起きてくる四肢の虚血は,遭遇する頻度は高くないが,急を要する重篤な病態である。膠原病に伴う四肢の壊死は,末梢の脈が触れにくくなるような比較的大きな血管の狭窄や閉塞による病態というよりは,比較的細い血管の障害によって起きることが多い。このような際に膠原病を疑ううえでは,病歴や身体所見が鍵となる。特に,よくみられる症状の原因が明らかではない場合には,他のまれな原因とともに,膠原病について考慮する。本稿では,四肢虚血に遭遇したときの膠原病に対するアプローチと,膠原病のなかでも全身性強皮症,結節性多発動脈炎,抗リン脂質抗体症候群を取り上げて解説する。
Main points
●背景に四肢の壊死をきたすような膠原病があっても,膠原病のみによって四肢の虚血症状が起きていると思い込むのではなく,他の疾患はないか,幅広く鑑別診断を挙げることが重要である。
●Raynaud現象は,少なくとも二相性の指の色調変化があり,特徴的な症状を病歴聴取でとらえることで診断する。その後,キャピラロスコピーやその他の身体所見などを参考にしながら二次性疾患の除外あるいは診断を行う。
●膠原病は全身性の疾患であり,さまざまな部位に診断へのヒントが隠されていることがある。四肢の虚血がある患者の背景疾患として膠原病を考慮するヒントは,詳細な病歴聴取と全身の身体診察が重要である。
●全身性強皮症が膠原病の中で指趾の虚血をきたす典型的な疾患であるが,基本的な治療方針としては,免疫抑制剤の使用ではなく,経静脈的なプロスタサイクリン製剤の投与,十分な除痛である。
●全身性強皮症に伴い指趾が壊死に陥っているような場合でも,感染症の合併などがあり切断したほうが良い場合を除き,基本的には保存療法で自然脱落を待つことが多い。
Peripheral ischemia associated with rheumatologic disorders is not common but may be a medical emergency. Peripheral ischemia associated with rheumatologic disorders is often due to involvement of relatively small blood vessels rather than palpable larger blood vessels. When peripheral ischemia is encountered, a complete history and physical examination help intensivists identify possible underlying rheumatologic diseases. When characteristic features of common causes of peripheral ischemia are not apparent, rheumatologic disorders may be important differentials along with other rare etiologies. This article discusses the diagnostic approach to, and management of, rheumatologic disorders with peripheral ischemia including systemic sclerosis, polyarteritis nodosa, and anti-phospholipid syndrome.
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