Medical Scope
抗リン脂質抗体症候群
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.253
発行日 1990年3月25日
Published Date 1990/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900054
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STS(standard test for syphilis)という種類の梅毒血清反応を皆さんは知っているでしょう。昔なつかしいワ氏反応(ワッセルマン反応)もこの一種です。このSTSという方法で妊婦の梅毒検査を行なうと,少数例ですが梅毒ではないのに陽性にでてしまう生物学的偽陽性(BFP:biological false positive)の症例があります。これは,梅毒の病原体である梅毒トレポネーマが培養しにくく病原体から抗原がなかなかとれにくいために,カルディオライピン抗原というこれに似たものを抗原として検査をするためだということもすでに教わったことでしょう。
したがって,自分が梅毒にかかっていなくても,このカルディオライピン抗原に対する抗体をもっている人は,STSの梅毒血清反応を検査すると陽性に出てしまうわけです。そこで本当に梅毒かどうかを診断する場合は,TPHAやFTA,ABSといった検査法が使われているのです。
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