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重症患者においてはICU退室後,認知,感情を含む精神障害が問題となり,長期予後を妨げるとされている。これを集中治療後症候群postintensive care syndrome(PICS)と呼ぶ。一方,その家族にも不安,抑うつ状態,心的外傷後ストレス障害などの精神障害が高頻度に発症し,患者がICUを退室したあとも長く続くと言われている。これをpostintensive care syndrome-family (PICS-F)という。本稿ではまず,PICS-Fの危険因子を挙げ,病態,特に睡眠障害の重大性について述べた。また,PICS-Fの予後を改善させると考えられる,コミュニケーションを中心とした対処や予防方法の重要性を述べ,ICU日記についても触れた。
Main points
●重症疾患を患った患者の家族には精神障害が高頻度に発症し,患者がICUを退室した後もその状態が長く続くといわれている。これをpostintensive care syndrome-family(PICS-F)という。
●PICS-Fには,不安障害,うつ病,急性ストレス反応,心的外傷後ストレス障害(PTSD)などがある。
●PICS-Fには危険因子があり,医療スタッフの努力によって軽減できるものもある。
●PICS-Fは思考と行動の不適応状態であり,治療方針などの意思決定に大きな影響を与える。
●ICU患者家族の多くは睡眠障害を経験し,ストレス反応や過敏性,抑うつ症状,注意力低下,意思決定能力に問題をきたし,PICS-F形成の重要な因子となる。
●PICS-Fの予防に必要なことは,医療スタッフと家族のコミュニケーションを推進させ,家族に十分な情報提供を行い情報を共有するとともに,家族自身の適応力や対処能力を引き出すことである。
●ICU日記は患者,医療スタッフ,家族間のコミュニケーションを改善し,PICS-Fや家族-患者中心の医療を取り戻すために効果的かもしれない。
Family members of critically ill patients are at high risk for developing anxiety, depression, and posttraumatic stress disorder (PTSD). These psychological symptoms are known as postintensive care syndrome-family (PICS-F), which may persist for a prolonged period after a patient's death or ICU discharge. In this article, risk factors and mechanisms of PICS-F focusing on important factors such as sleep deprivation are discussed. Prevention and management of PICS-F including communication and the use of an ICU diary are discussed.
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