特集 中毒
Part 3 中毒の集中治療
8.メタノールとエチレングリコール—アルコール属中毒の総論と治療の実際
小松 孝行
1
Takayuki KOMATSU
1
1順天堂大学医学部附属練馬病院 救急・集中治療科
pp.729-747
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200434
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アルコール属は炭化水素の水素原子がヒドロキシ基(-OH)に置換された物質の総称である。我々が日常診療で目にする頻度が高い過剰飲酒による急性エタノール中毒は,基本的に支持療法のみで解決する。このため,アルコール属による中毒という言葉は主にエタノール以外のアルコール属による中毒を指すが,本稿ではアルコール属全般における中毒に対する考え方と,特に集中治療を要するメタノールとエチレングリコールについて概説する。
Summary
●摂取物の体内動態の理解が,治療の選択において,最重要である。
●病歴,臨床症状,浸透圧ギャップ,アニオンギャップから迅速に診断をつける。
●メタノールおよびエチレングリコール中毒ともに,血液透析による治療効果が期待できる中毒である。
●アルコール脱水素酵素阻害薬投与患者におけるホメピゾールやエタノールの使用に関しては,施設ごとで適切な選択をすべきであるが,医療チームスタッフが協力して適切な加療を提供すべきである。
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