特集 心臓血管外科 後編
術後合併症
5.縦隔炎—早期の診断・治療が大切
木下 武
1
Takeshi KINOSHITA
1
1滋賀医科大学 心臓血管外科
pp.161-168
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200250
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心臓手術後の縦隔炎(深部胸骨感染)は,頻度こそまれだが発症すれば致死的な合併症である。また,縦隔炎は遠隔生存率を低下させることが報告されている1〜4)。現時点で,縦隔炎に対する治療戦略に関する強固なエビデンスが存在しないため,個々の医師の判断で治療が進められているのが現状である。本稿では,縦隔炎の頻度,発生時期,危険因子,診断,治療に関する情報をアップデートし,最新のエビデンスを明示しつつ,内在する問題点を明らかにしたい。
Summary
●診断において最も重要な点は,縦隔炎を常に疑うことである。
●外科的処置の基本は感染組織の完全な除去であり,広範囲の郭清と徹底的な抗菌薬治療が必須である。
●持続灌流ドレナージ療法,VAC療法,大網充塡,筋皮弁充塡など,多くのオプションが存在するが,治療適応,開始時期などに明確な基準はない。
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