特集 心臓血管外科 前編
術式別に学ぶ心臓血管手術:弁膜症と不整脈
2.経カテーテル的大動脈弁置換術(植込み術)
鳥飼 慶
1
,
倉谷 徹
2
,
澤 芳樹
1
Kei TORIKAI
1
,
Toru KURATANI
2
,
Yoshiki SAWA
1
1大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科
2大阪大学大学院医学系研究科 低侵襲循環器医療学
pp.723-731
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200212
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高齢化社会を背景に大動脈弁狭窄症aortic stenosis(AS)患者が急増している。それを受け,高リスクAS患者に対する低侵襲カテーテル治療として経カテーテル的大動脈弁置換術transcatheter aortic valve replacement(TAVR)が登場し,現在,国内でも普及しつつある。本稿では,循環器領域で大変注目されているTAVRについて,その概要,治療適応や手技,術後管理について述べる。
Summary
●高リスク大動脈弁狭窄症患者に対する低侵襲治療として経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)が登場した。
●国内では2013年10月よりバルーン拡張型デバイスであるSAPIEN XTが保険償還され,徐々に普及しつつある。
●無作為化比較試験では,TAVRは手術が不可能な極めて高リスクな患者において保存的加療より予後を改善し,高リスク患者において外科的大動脈弁置換術と同等以上の臨床成績を示している。
●主なアプローチとして,経大腿動脈と経心尖部がある。
●重篤な術中合併症や脳合併症,弁周囲逆流の発生,医療コストなどが解決すべき今後の課題として挙げられる。
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