特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液検査
血球検査
血小板数
川合 陽子
1
1国際医療福祉大学臨床医学研究センター
pp.69-71
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104694
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血小板は骨髄中で巨核球から造られる.骨髄中の造血幹細胞から,トロンボポエチン(thrombopoietin:TPO)を中心とする種々のサイトカインや造血因子によって分化成熟させられた巨核球から,pro-plateletを経て成熟血小板として放出される.通常の生体内では,血小板は血管の中を循環しているが,凝集はしない.しかし,怪我や手術などで,血管が損傷を受けると,露出した血管内皮下組織のコラーゲン線維にvon Willebrand因子(vWF)を糊として,血小板は粘着・凝集し,傷口を塞ぐ血栓として機能する.すなわち,血小板は止血機構の第一歩を司る重要な細胞なのである.
健常成人の末梢血には,1μl中に15~35×104の血小板が循環している.血小板数の異常値としては,減少する場合が多いが,増加する場合もある.血小板数が減少すると,止血機構がうまく作動せず,出血傾向を呈する.血小板は人間の生命維持に重要な細胞であるので,人類の進化の過程で過剰に存在していると思われる.一般的には,8~10×104/μl程度の少しの減少では出血傾向を呈さず,通常は5×104/μl以下で止血困難を,1×104以下で出血傾向を呈するといわれている.
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