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2009年4月に発刊されたIntensivist誌では「Sepsis」が特集として扱われた。そのなかの「疫学的アプローチ:頻度,原因菌,感染源,予後」1)では,主に2008年までに発表された文献が引用されていたが,引用文献のデータのほとんどはSurviving Sepsis Campaign Guidelines(SSCG)発行以前のものであった。その後,多くの疫学研究結果が新たに発表され,SSCG発行以降の疫学的動向も示すことができるようになった。
また,日本の敗血症に関する疫学研究はこれまで厚生労働省のサーベイランス事業をもとにした研究2)だけであったが,定義や対象患者の問題から国際的に示されている発生頻度との乖離が指摘されていた3)。そのような背景から,日本救急医学会と日本集中治療医学会は2007年にSepsis Registry委員会を設立し,日本からも国際基準に合わせたデータベースの報告が行われるようになった4,5)。
本稿では,2009年以降に発表された論文を中心に,国際疫学研究や各国・各地域の疫学研究,そして国際基準に合わせた日本の疫学研究の結果を示して(表1),敗血症の現状を述べていきたい。
Summary
●2008年以降に発表された疫学研究で,敗血症の罹患率は年々上昇を示している。
●院内死亡率は地域差が大きいものの,世界的には年代とともに低下していることがメタ解析にて示されている。
●原因として最も多いのは,呼吸器感染症であるが,医療関連感染ではカテーテル関連感染の割合が高い。
●近年,日本での重症患者のデータベースが整いつつあり,日本の動向も世界と大きく変わらないことが示されている。
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