特集 ICUルーチン
第1章 ICUにおけるケア
6.体温測定・クーリング―ルーチンの解熱療法は有効か
江木 盛時
1
Moritoki EGI
1
1神戸大学医学部附属病院 集中治療部
pp.193-197
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100643
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集中治療患者において体温は,全身状態を把握するうえで重要な指標となる。体温は敗血症の診断1),患者重症度評価であるAPACHE Ⅱ スコア2),近年報告された人工呼吸器関連事象ventilator-associated condition(VAC)における感染に関連した人工呼吸器関連事象infection-related ventilator-associated complication(IVAC)3)の評価などさまざまな病態を把握するうえでも不可欠な指標である。実際,低体温あるいは発熱を契機に新たな診察,検査,治療が開始されることはまれではない4)。
本稿では,低温療法や偶発性低体温,熱中症などに対する特殊な体温測定・体温調節を除いた,一般のICUケアとしての体温測定と調節,それに対するさまざまなクーリング方法とその有用性について文献の吟味を行う。
Summary
●体温は,全身状態を把握するうえで重要な指標である。
●血液温度,膀胱温度,食道温度,直腸温度が,深部温度をより正確に反映すると考えられ,その使用が推奨されている。
●低体温は発熱と同じく敗血症の指標であり,その副作用を防ぐためには緩徐に復温するべきである。
●鎮静されていない発熱患者に対するクーリングは,酸素消費量増大などの有害作用を有する。
●重症患者に対する解熱療法の是非は,いまだ明確なエビデンスが存在しない領域である。
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