特集 からだのメカニズムから看護技術を見直そう
クーリングは熱を下げるか?
櫻井 利江
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科(看護科学系)
pp.14-20
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100001
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はじめに
このところクーリングの必要性に疑問を持ち,あちらこちらで“小出し”にして書いているものですから,筆者の私としては違和感がないのですが,読者の方々は「えっ?!」と思われるかも知れません.それもそのはず,です.日々の業務の中で「クーリング」ほど頻繁に実施され,よかれと思って適用している看護技術はないと思うからです.
私自身も臨床にいたときは,疑問を持ちながらも指示に従い「クーリング」を行なってきました.そして,腋窩で体温を測っては体温表に記入し,「熱が下がった」とみな(看護師だけではなく医師も)が思い,やれやれとクーリングをはずすと,また腋窩での体温測定の結果「熱が上がる」ので,クーリングを続行するのです.発熱が見られると「とりあえずクーリングで様子を見ておいて」という当たり前の図式が頭の中にこびりついているわけです.
けれど,クーリングはやはり適応を考えて実施しなければならない看護技術なのです.なぜ,一律にクーリングをしてはならないのか,なぜ「クーリングで様子を見て」解熱薬の投与になかなか踏み切れないのか,その発端はどこにあるのか.ここでは,このクーリングにまつわる誤解を体のメカニズムから解き明かし,そのうえで「クーリング」を実施してもよい対象,そしてタイミングを見定めることにしましょう.
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