特集 疼痛・興奮・譫妄
6.浅い鎮静を―その有効性と問題点
井上 茂亮
1,2
Shigeaki INOUE
1,2
1東海大学医学部 外科学系 救命救急医学
2東海大学 創造科学技術研究機構医学部門
pp.45-50
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100617
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ICU患者における鎮静レベルには,患者が覚醒し簡単な命令に従うことができる「浅い鎮静」と,痛み刺激にも反応しない「深い鎮静」がある。2013年に改訂されたClinical practice guidelines for the management of pain, agitation, and delirium in adult patients in the intensive care unit(PAD管理ガイドライン)1)では浅い鎮静が推奨され,本邦のICUにおける鎮静のあり方も大きく変わろうとしている。浅い鎮静はICUスタッフに,そして患者に何をもたらすのだろうか。
本稿では,浅い鎮静が推奨されるに至った歴史的変遷,その方法と問題点を考察する。
Summary
●深い鎮静は,呼吸器離脱遅延,精神障害,免疫能障害,リハビリテーションの遅れなどを引き起こす。
●浅い鎮静は,人工呼吸器管理期間やICU滞在期間を短縮する。
●プロトコルを用いた鎮静レベルの調節や1日1回の中断などで,浅い鎮静を心掛ける。
●浅い鎮静を維持するには,良質な鎮痛が必要である。
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