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体外式膜型人工肺extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)は「cardiac ECMO」「ECPR」「respiratory ECMO」に分類され,前2者がVA ECMO(すなわちPCPSとほぼ同義)に相当すると考えられる。その施行中の管理方法は「ECPR」でも「cardiac ECMO」でもほぼ同じとしてよいであろう。平成20年から調査施行されている我が国のSAVE-J研究*1において,「ECPRにおけるPCPSガイドライン1)」が作成されている。SAVE-J研究は参加施設が限られており,調査もすでに終了しているが,ガイドラインの内容自体は関連文献,国内外の施設のマニュアルを参考に作成されている。その内容も受け入れやすいものにまとめられており,研究参加施設以外でも参考になると思われる。
本稿では,2011年3月に発表された研究報告書に記載されているSAVE-Jガイドライン1)をベースにして,PCPS導入から離脱までの一連の流れを紹介する。それに加え,最近の知見,報告例などもふまえて解説する。
Summary
●蘇生手段としてのPCPSに関する統一されたガイドラインはいまだに存在しない。
●本邦での多施設共同前向き研究であるSAVE-J研究では,統計学的にも有意にPCPS導入群の神経学的予後がよいことが示唆されており,これに基づいた導入ガイドラインを参考とすることは臨床実地でも有用と思われる。
●ECPRの治療成績に対しては,心停止発症からPCPS装着までの時間が最も強く予後と関連しており,1時間以内に行うことが望ましい。
●迅速なPCPS導入のため,医師以外に臨床工学技士なども含めたチーム医療で蘇生治療に臨む必要がある。
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