特集 ECMO
5.症例編―Part 2.VA ECMO:心停止症例に対するECPR
渡邉 和宏
1
,
長尾 建
1
Kazuhiro WATANABE
1
,
Ken NAGAO
1
1駿河台日本大学病院 循環器科
pp.417-429
発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100541
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2000年に,AHA*1/ILCOR*2から心肺蘇生cardiopulmonary resuscitation(CPR)と救急心血管治療のための国際ガイドラインが報告された。院外で突然心停止に陥った患者の生存率を最大限に引き上げる方策として,おのおのの国や地域で救急医療体制を科学的に検証し,再構築することが必要であるとした。そのなかで経皮的心肺補助percutaneous cardiopulmonary support(PCPS)*3を用いた侵襲的CPR〔extracorporeal cadiopulmonary resuscitation(ECPR)〕が推奨され,それ以降,本邦でもその使用頻度は増加していった。2005年にガイドラインが改訂され,血流停止時間が短い心停止患者で,その原因が回復・修復可能な場合にPCPSを考慮すべきである(Class Ⅱb)1,2)とされた。これはガイドライン20103)でも同様である。しかし,神経学的な予後改善をもたらすにはいまだ不十分である。現在,PCPSを用いたECPRの施行下に低体温療法を駆使することで,神経学的な転帰を改善させる可能性が見いだされつつある。しかし,その適応,方法,効果は未知数であり,先進的な施設においてもまだ試行錯誤の段階であるのが現状である。本稿ではECPRを導入した心停止症例の実例をいくつか提示し,PCPSの実際を概説する。
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