特集 ECMO
4.VA ECMO―Part 1.成人の適応疾患とその効果に関するエビデンス
福田 龍将
1
Tatsuma FUKUDA
1
1東京大学大学院医学系研究科 救急医学
pp.367-381
発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100537
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体外式膜型人工肺extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)といえば,重症呼吸循環不全における「最後の切り札」というイメージを抱く読者が多いのではないだろうか。筆者もその1人で,時には事前の安全策として,時には藁にもすがる思いで,ECMOに頼ることがある。しかし,果たしてECMOには実際に「切り札」と呼べるだけの効果があるのだろうか。効果があるとすれば,どのような病態で威力を発揮するのだろうか。
本稿では成人のveno arterial(VA)ECMOに焦点を絞り,その歴史的変遷をひもとくとともに,過去の臨床研究のエビデンスに基づいた適応病態とその効果について述べる。
Summary
●VA ECMOに関するエビデンスは絶対的に不足している。
●ELSOガイドラインや各病態ごとのガイドラインでVA ECMOの適応,推奨が示されているが,いずれも十分な根拠はない。
●限定的ではあるが,研究によってECPRの有効性が示されている。
●ECPRは,特に心原性心停止において有効と考えられ,早期のECPR導入と,PCI,低体温療法併用の有用性が示唆されている。
●ECMOに関するレジストリや多施設共同研究が国際的に行われ始めており,今後の成果が期待される。
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