特集 中毒
Part 2 診断と治療のアプローチ
【コラム】中毒診療におけるECMO(VA-ECMO)—適応と具体的方法
小島 直樹
1
Naoki KOJIMA
1
1公立昭和病院 救命救急センター
pp.604-607
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200420
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抗うつ薬や循環作動薬の過量摂取などによる急性中毒は,重篤な循環不全を生じる。これらの病態は可逆的であることが多いため,ECMOなどの体外循環が適応となり得る。また,中毒による心停止症例に対する蘇生でも,ECMOを使用して社会復帰に至る症例が報告されている。しかし,このような症例に対するECMOの適応については明確な基準はない。そこで本コラムでは,中毒だけでなく蘇生に関するガイドラインを紐解き,中毒患者におけるECMOの適応について考察する。なお,中毒に関するVV-ECMOのエビデンスはほぼないため,本コラムではVA-ECMOに絞って論ずることとする。
Summary
●急性中毒による循環不全,心停止は,原因となる背景疾患が可逆的である可能性が高く,VA-ECMOは考慮してもよい方法である。
●無作為化比較試験のような明確なエビデンスはなく標準的治療とはいえないが,適応を支持する症例集積研究は散見される。
●日本蘇生協議会,米国心臓協会(AHA)や日本中毒学会のガイドラインでは,循環停止時間が比較的短く,心停止の原因を解除することが見込まれる場合など,一定の基準を満たした症例に対して弱いながらも推奨されている。
●カルシウム拮抗薬,β遮断薬などの心筋作用抑制や三環系抗うつ薬などの過量服用による薬物中毒で使用を考慮する。
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