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医療工学の発達によって膜型人工肺,遠心ポンプ,ヘパリンコーティング技術,そして経皮的挿入可能なthin wall cannulaが開発され,1990年代以降,ECMO/PCPSは急速に普及した。本邦においては外科領域や循環器領域にとどまらず,救急領域において重症心不全や呼吸不全,現在のECPRにつながる蘇生法として,PCPSという名称で応用され,多くの報告がなされている1)。
カニュレーションはECMO/PCPSを実際に施行する場合の第一歩であり,強力な補助循環法として,その機能を十分発揮させ,安全かつ安定した効果を維持するために重要である。しかし,カニュレーションは経験によるところが大きく,その詳細に関する文献や専門書は限られている。したがって本稿ではExtracorporeal Life Support Organization(ELSO)のガイドライン2)や,本邦で実施されたSAVE-J研究で,筆者も作成に参画した臨床工学技士部会によるPCPSマニュアル3)をもとに解説する。ELSOは体外式生命補助にかかわる医療従事者,研究者の国際的な協会である。
Summary
●ECMO/PCPSのカニュレーション法を熟知することは,施行の第一歩であり,強力な補助循環法としてその機能を十分に発揮させ,安全かつ安定した効果を維持するために重要である。
●血管のアクセス法には,VAバイパス,VVバイパス,AVバイパスがあり,目的に応じて選択される。
●カニューレの挿入法にはカットダウン法,経皮的カニュレーション法(Seldinger法),半Seldinger法がある。
●カニュレーションによる合併症として最も注意すべきは,出血や血腫形成,下肢の虚血である。
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