特集 ECMO
【コラム】生命倫理と経済的側面―PCPSの施行や中止の判断をいかに行うか
浅井 康文
1
Yasufumi ASAI
1
1函館新都市病院
pp.322-326
発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100531
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ECMO/PCPSは,高度先進医療であるが故に,不可逆的脳障害(臨床的脳死)や,不可逆的心不全を呈する症例に遭遇することが不可避であり,PCPS装置を外さざるを得ない事態が生じ,そこに生命倫理問題が発生する。本稿では,筆者の前任地の札幌医科大学高度救命救急センターでのECMO/PCPSについて簡単に述べ,その生命倫理的な観点から,中止基準や移植待機への移行などについて述べたい。また,それに伴うECMO/PCPSの経済的側面の問題があり,現在の保険償還や汎用化に向けてのコストについても述べる。
Summary
●札幌医科大学高度救命救急センターでは,1999年から,心肺停止症例のなかでも社会復帰が最も期待できる急性心筋梗塞症例に,経皮的心肺補助(PCPS)を導入,次いで経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行し,その後,脳保護のために脳低温療法を行うという,包括的な治療を積極的に行うようになった。
●PCPSの中止にあたっては,主治医一人で決定するのではなく,看護師を含めたチーム医療で行うのがよい。また,家族に十分な説明を行い,尊厳を含めて患者本人の考えや家族の希望も考慮すべきである。このことは,終末期医療に深く関係してくる。
●PCPSのコストに関する最新の検討を,厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)分担研究報告書において,渥美が報告している。結論として渥美は,SAVE-J*1研究適応症例において,院外心停止症例に対してPCPSを導入することは,医療経済的に検討に値するとしている。
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