特集 ECMO
2.ECMO総論―Part 1.ECMOの生理学:心肺補助における呼吸循環生理の理解が不可欠
赤嶺 斉
1
,
新見 能成
1
Hitoshi AKAMINE
1
,
Yoshinari NIIMI
1
1板橋中央総合病院 麻酔科
pp.269-278
発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100525
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体外式膜型人工肺extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)は,体外循環を用いて血液の酸素化と二酸化炭素除去を行い,これを動脈あるいは静脈に返血して,生体の酸素化を維持する装置である。ECMOは,従来の治療に抵抗性のある重篤な心不全や呼吸不全の管理において,強力な心肺補助効果を発揮する。しかし,体外循環に特有の循環生理と呼吸生理を理解して使用しなければ,最適な効果が得られないばかりでなく,重篤な合併症と直結する。
本稿ではECMOの種類と酸素運搬の特徴,目標灌流量と臓器循環,モニタリングなど,ECMOによる心肺補助の呼吸循環生理について解説する。
Summary
●VA ECMOは心機能と呼吸機能を,VV ECMOは呼吸機能を補助する。VV ECMOでは自己心の機能を維持することが重要である。
●VA ECMOで心機能がある程度維持されていれば,生体への酸素運搬は自己心とECMOの双方で行われる。
●VV ECMOでは,大なり小なり送血した血液が直接脱血カニューレより脱血されるリサーキュレーションが起きる。
●VA ECMOは心臓の代行をするが,前負荷は減少するものの,後負荷が増大し,左室仕事量は増加する。また,流量が増加すると冠血流は減少する。
●VA ECMOでは,混合静脈血酸素飽和度>70%に維持して,生体の総合的な酸素需給バランスを保つ。
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