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extracorporeal membrane oxygenation (ECMO)といえば,皆さんはまず何を思い浮かべるであろうか? おそらく我が国では,重症呼吸不全に対する酸素化の補助を目的とした体外循環を思い浮かべる人がほとんどであろう。しかし,国際的にECMOという用語は,呼吸補助のみならず循環補助をも目的としたvenoarterial (VA) ECMOを含む概念として用いられている。このVA ECMOが,我が国でpercutaneous cardiopulmonary support (PCPS)と呼ばれているのは周知の事実である。今回のIntensivist誌の「ECMO」特集号では国際的な慣用にならい,いわゆるPCPSをもECMOの概念に含めていることを,まずご理解いただきたい。
本稿では,この究極の機械的臓器補助ともいえる先進的医療であるECMOを国際的なエビデンスと照らし合わせることで,我が国のECMOの現況を概観してみたい。
Summary
●年間約3000例が登録される国際レジストリにおいて,ECMOは1施設当たり年間約20症例に集約された治療であり,その90%近くが新生児・小児領域で施行され,全体としてrespiratory ECMOが最も多い。
●一方,我が国では年間数千例以上という驚くべき数のECMOが,1施設当たり約7例という分散した形で施行されている。国際レジストリと異なり,成人に対するVA ECMOがおそらく圧倒的に多い。
●今後,ECMOにかかわる用語の整理,施設集約化,シミュレーション教育,ガイドライン作成,そしてアウトカムの把握,といった多くの課題を組織的なアプローチにより克服し,その質を向上させる必要がある。
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