特集 急性冠症候群
11.包括的心臓リハビリテーション―ACSからの回復をどうサポートするか?
長山 雅俊
1
Masatoshi NAGAYAMA
1
1榊原記念病院 循環器内科
pp.197-203
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100515
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不安定プラークの破綻を主病因とする急性冠症候群において,急性期冠動脈血行再建療法はその急性期予後を著しく改善した。しかしながら,急性冠症候群では,責任冠動脈病変以外にも多くの不安定プラークが存在しており,局所治療であるカテーテル治療のみでは,長期予後改善効果は十分ではない。長期予後の改善には薬物治療に加え,運動療法,食事指導,生活指導,ストレス管理など,包括的な介入が重要である。包括的心臓リハビリテーション(以下,心リハ)の予後改善効果はさまざまなエビデンスが報告されており,心筋梗塞では心血管系死亡が20~25%減少する1,2)とされる。また,かつては禁忌とされていた重症左室機能障害例においても,予後改善効果が期待できることがわかってきた。心リハを始めるうえでは,左室ポンプ機能,心筋虚血,不整脈,運動耐容能の4つの点から患者情報を評価し,適切な運動処方を用い,十分な安全管理のもとで行う必要がある。本稿では心リハの有用性のエビデンスと退院後の心リハの進め方,日常生活での運動指導のポイントを中心に述べる。
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