特集 急性冠症候群
10.ACS with normal coronary―単一の病態ではなく,さまざまな機序によって起こり得る
澤村 匡史
1
Tadashi SAWAMURA
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 集中治療科
pp.179-196
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100514
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本稿のタイトルはACS with normal coronaryであるが,正確にはACS with “angiographically” normal coronaryである。一見,ACSと矛盾した概念に思える,normal coronaryという形容詞をつけることがタイトルになり得るのには,冠動脈造影が冠動脈の評価をするうえでゴールドスタンダードと思われがちであることと無関係ではない。しかし,冠動脈造影には限界があり,心筋虚血の病態をすべて見せることはできない。これは,冠動脈造影自体に死角があることと,虚血をもたらす病態が冠動脈の器質的狭窄のみによるわけではないことが理由である。以降,本稿においてACS with normal coronaryとは,ACS with angiographically normal coronaryのことである。また,本特集においてACSとは主として非ST上昇型を指しているが,本稿ではその病態が多岐にわたることから,臨床像も非ST上昇型に限定されず,ST上昇型も非ST上昇型も含めた議論になることを断っておく。
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