Japanese
English
綜説
Coronary spasmの発生機序に関する考察—特に基礎研究面から
Coronary spasm:Insight into mechanisms based on experimental observations
横山 光宏
1
,
水谷 哲郎
1
,
福崎 恒
1
Mitsuhiro Yokoyama
1
,
Tetsuo Mizutani
1
,
Hisashi Fukuzaki
1
1神戸大学医学部内科学第一講座
11st Dept. of Int. Med., Kobe University School of Medicine
pp.577-587
発行日 1981年6月15日
Published Date 1981/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203780
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Coronary spasmはその虚血性心疾患の成因に果たす重要性が再認識され,ここ数年来この分野での最も興味ある研究課題となっている。
1772年にHeberdenは狭心症の臨床概念を詳細に記載したが,その中でnonexertional formの狭心症の存在について触れている1)。1910年Sir William Oslerは初めて「arterial spasmが狭心症の原因となりうる」と提唱した2)。その後,心電図学の発達と共に狭心発作時に一過性のST部分の上昇を認ある症例の報告がなされたが3,4),当時はBlumgart等による「急性心筋梗塞はその剖検所見より冠動脈の一枝あるいは多枝の完全な粥状硬化性閉塞が原因であり,従って狭心症は器質的な冠動脈の狭窄により生じ,胸痛は心筋の酸素消費がその供給をうわまわる時に生じる5)」との考え方が一般に受け入れられていた。1959年にPrinzmetalらは異型狭心症の臨床像を詳細に解析し,その診断基準を提唱したが,3例の剖検所見より冠動脈主幹部の高度の動脈硬化性狭窄病変部に冠動脈の緊張亢進の起こることが狭心発作の発生機序であろうと推測した6)。
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