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安定狭心症では,まず保存的内服加療を行うか,または早期に冠動脈血行再建を行うかでさまざまな議論がありますが,急性冠症候群acute coronary syndrome(ACS)では早期冠動脈血行再建の有効性が確立されています。しかし,
●非ST上昇型ACS(NSTE-ACS)と診断したあとに,冠動脈造影を施行し,3枝疾患や左主幹部left main trunk(LMT)病変が認められた場合は,経皮的冠動脈インターベンションpercutaneous coronary intervention(PCI)と冠動脈バイパス術coronary artery bypass grafting(CABG)のいずれを選択すべきか
●多枝疾患でPCI治療を行う場合に,責任血管culprit vessel のみを治療し,残存病変は段階的に治療するのがよいのか,1回ですべての病変を同時に治療してしまうのがよいのか
●カテーテルのアプローチ部位には,橈骨動脈と大腿動脈のいずれを選択すべきか
●冠動脈内に血栓がある場合に,血栓吸引や末梢保護の有効性はあるのか
●ステント留置の際は,ベアメタルステントbare metal stent(BMS)または,薬剤溶出性ステントdrug-eluting stent(DES)のいずれを使用すべきか
などは解決されておらず,よく議論となるトピックも数多くあります。
インターベンション心臓病学interventional cardiologyの技術革新は日進月歩で,使用するデバイスもすぐに古くなり,変わっていきます。例えば,2004年に日本での使用が開始された,第一世代の薬剤溶出性ステントであるCypherは,2011年には市場から撤退しており,第二世代の薬剤溶出性ステントが主流になっています。新たなエビデンスが発表され,コンセンサスは変わるかもしれませんが,本稿ではPCIのACS関連のトピックについて紹介し,現状のエビデンスをまとめます。
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