特集 術後管理
2.術前の心筋虚血評価―Part 2:心臓負荷試験の意義
平岡 栄治
1
HIRAOKA, Eiji
1
1神戸大学医学部附属病院 総合内科
pp.215-224
発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100409
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術前に,マスターダブルやトレッドミル,ATP負荷心筋シンチグラフィなどがしばしば施行される。少し患者の負担を考えてみよう。
患者が支払う医療費は,3割負担として,マスターダブル960円,トレッドミル運動負荷試験約2,400円,ATP負荷心筋シンチグラフィ約3万円,冠動脈CTアンギオグラフィ約9,600円,これらの検査で異常があれば行われる冠動脈造影検査が約9万円である(表1)。これに初診料(1科目270点2,700円,2科目135点1,350円),診断料などが加算されていく。さらに,予約をとり,再び通院する肉体的・精神的労力,時間的な負担などもある。核医学検査や冠動脈CTアンギオグラフィ,冠動脈造影coronary angiography検査ではさらに医療被曝という問題もある1)(表1)。
このように,これらの検査は何となく“術前にはするもの”といった,いわゆる“ルーチン”でするものではない。それなりの目的をもち,その検査を行うことでマネジメントを変えるかどうか,上記の負担に見合った利益があるかどうかを考慮して,適応を吟味する必要のある検査と考える。このPart 2では術前の心臓負荷試験の意義について解説する。
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