特集 End-of-life
12.今後の方向性と課題―我が国のガイドラインからみえてくるもの
中村 俊介
1
,
有賀 徹
1
NAKAMURA, Shunsuke
1
,
ARUGA, Tohru
1
1昭和大学医学部 救急医学講座
pp.133-139
発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100394
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我が国では,国民皆保険制度など施策によって,国民すべてが医療を受けることについておおむね保障されている。このような医療の提供を受けやすい環境に加えて,医療そのものの発展の恩恵を受け,平均寿命は延び,我が国は世界で指折りの長寿国となった。しかし救命,延命を至上とする医療が進められてきた一方で,果たして医学的,倫理的また社会的に生存期間の延長のみを目指すことが本当に正しいのか,といった議論も行われるようになった。
終末期医療は,癌治療におけるホスピスなどで展開される医療として,一般に認識されている時代があった。しかし,突然発症した重篤な疾病や,不慮の事故に対して行われる救急医療の現場において,蘇生限界点に到達し,早晩死亡することが予測されたならば,それ以降に行われる医療もまた終末期医療である。
本稿では,まず日本救急医学会が公表した「救急医療における終末期医療に関する提言(ガイドライン)」1)を解説し,次に救急・集中治療領域における終末期医療の今後の方向性と課題について述べる。
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