特集 End-of-life
10.小児―多職種のチームで取り組む小児の終末期医療
川口 敦
1
KAWAGUCHI, Atsushi
1
1University of Alberta, Stollery Children' s Hospital, Pediatric Critical Care Medicine
pp.113-120
発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100391
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“Children are not supposed to die” 子をもつ親であれば誰しも「我が子は自分より先に死ぬことはない。そんなことがあってはならない」,そう思うものである。しかし集中治療室では,そのような非日常を日々診療し,よくも悪くも「消化」していかなければならない。
昨今日本においても,専門分野としての小児集中治療の必要性が広く訴えられるようになってきた。しかし,小児集中治療医は単に高度な専門医療の提供をするだけではなく,結果として避けることのできない予後不良小児患者の診療に数多く携わらなければいけないのも事実である。また,昨年には,臓器移植法の改正により小児の脳死患者からの移植臓器提供も可能になり,成人以上に終末期医療分野に著しい変化,現場の混乱がみられている。加えて,小児分野は意思決定に両親,保護者が介入し,また,疾患疫学が年齢により大きく異なることなどからも,成人とは異なる観点から終末期医療,移植医療について考える必要がある。
本稿では,小児集中治療分野における重要な終末期医療の疫学(海外のデータを中心に)を示すとともに,小児ICU(PICU)における終末期ケアの要点などを述べる。
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