特集 急性心不全
12.「特集 急性心不全」解説―(2)あとがきに代えて
香坂 俊
1
Shun KOHSAKA
1
1慶應義塾大学医学部 循環器内科
pp.843-845
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100361
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特集「急性心不全」,いかがでしたでしょうか。編集サイドとしては,現在わかっている急性心不全 acute heart failure(AHF)の病態を余さず伝えるという姿勢にこだわらせていただきました。この点で妥協しなかったために,ご執筆の先生方には出版間近までいろいろとご迷惑をおかけしてしまいましたが,多くの方々の多大なるご尽力のお陰で,「うっ血だから利尿薬」という従来のAHF像にとらわれない,視野の広いマネージメントの手引きを読者にお届けできたのではないかと思っています。
AHFの病態の中心は体液再配分fluid redistributionであり,その治療は利尿よりもむしろ再再配分 re-redistributionを促すことであるという理解は,最近の心不全領域の大きな進歩です。このコンセプトに対して皆さんの賛同を得られるか否かは反響を待たなくてはわかりませんが,一貫した方向性をもたせようということは編集委員の議論のなかで何度も確認してきました。願わくは本特集が皆さんのAHFに対する考え方を,方向はさまざまであれ,少しでも広げてくれることを願っています。
以下,各章について解説します。
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