特集 急性心不全
【コラム】急性心不全における僧帽弁逆流の役割
永井 利幸
1
Toshiyuki NAGAI
1
1慶應義塾大学医学部 循環器内科
pp.810-812
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100356
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
急性心不全が疑われる症例を診察するとき,Ⅲ音を正確に聴取することは難しいが,心雑音ならば,たとえ初期研修医や非循環器専門医であっても,ある程度正確に聴取できるはずである。なかでも「バハーッ,バハーッ」という全収縮期雑音を心尖部で聴取した場合は,僧帽弁逆流 mitral regurgitation(MR),もしくはまれであるが心室中隔欠損症や心室中隔穿孔が想像できるであろう。
MRはしばしば急性心不全の直接の原因となるが,間接的な増悪因子ともなる。教科書的に有名なのは直接原因の急性MRであり,外科的修復が遅れると早期に死に至る恐るべき病態として知られている。しかし近年,間接的増悪因子としてのMRも心不全急性期の管理においてクローズアップされてきており,本稿でも後半で取り上げる。
Copyright © 2010, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.