図解病態のしくみ 循環器シリーズ・1
僧帽弁逆流
博 定
1
1前田橋医院
pp.364-365
発行日 1975年3月10日
Published Date 1975/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205836
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僧帽弁閉鎖不全(mitral insufficiency;M.I.)に関し,近年来,急性で予後の悪い非リウマチ性の症例に多大な関心が示されたが,このことは,治療に先だって病因診断が極めて大切であることを物語っている.リウマチ性のM.I.は慢性で,平坦な全収縮性の雑音,巨大左房,心房細動そして緩徐ではあるが漸進的に心不全へと進む特徴を示すのに反し,急性M.I.では,今まで雑音のなかった者に突然高調で,漸増漸減性の全牧縮期性雑音が出現する.左房は小さく,調律も洞調律を示すが,発症後急速に左心機能が低下し,心不全,肺浮腫が続く.同じ僧帽弁逆流でありながら一方は慢性,他方は急性であるところが違う.これは,ひとえに病理解剖的背景の差,したがって病態生理の差による.そこで,僧帽弁逆流に至る過程を弁および弁支持組織のそれぞれについて別個に考察してみることにする.
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