特集 外傷
7.腹部コンパートメント症候群/腹腔内圧上昇
溝端 康光
1
Yasumitsu MIZOBATA
1
1大阪市立大学大学院医学研究科 救急生体管理医学
pp.521-537
発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100321
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腹腔内圧上昇intra-abdominal hypertension(IAH)と腹部コンパートメント症候群 abdominal compartment syndrome(ACS)は,大量出血を伴う重症外傷においてしばしば遭遇する重篤な合併症である1~8)。ACSでは腹腔内圧 intra-abdominal pressure(IAP)の上昇とともに,呼吸,循環,腎,中枢神経系を中心に臓器機能障害が進行する。ACSを合併した場合の死亡率は40%にも達するため9),早期にIAHを評価して対応することが不可欠である。近年,重症外傷に対するdamage control(DC)の導入により,IAH/ACSの合併頻度も増加しており,外傷外科医,集中治療医の間での認識も高まりつつある10)。こうしたなか,2004年12月にオーストラリアのクイーンズランドでInternational ACS Consensus Definition Conferenceが開催され,IAH/ACSに関する定義11),診断と治療12)について討議された。本稿ではその内容を紹介するとともに,外傷におけるIAH/ACSの病態,診断,治療について概説する。
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