特集 急性膵炎
11.「特集 急性膵炎」解説―(1)急性膵炎診療はprosとconsに満ちている
讃井 將満
1
Masamitsu SANUI
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部
pp.733-735
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100104
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急性膵炎は,ARDS,sepsis,AKIなどと並び,ICUが扱う代表的疾患の1つである。いうまでもなく,非感染性の全身性炎症反応症候群の代表疾患であり,重症化すれば局所ばかりでなく,遠隔重要臓器の障害が進み,多臓器不全へと進展するからだ。もちろん,消化器内科医,外科医がその専門的診療をリードすることに異論はないが,重症病態の全身管理はICU専門医の沽券にかかわるところなので,もし信頼に足るICU専門医がいる病院であれば,その診療にかかわるべきであると考える1)。
今回,急性膵炎を本誌の特集として取り上げたのは,ICUが扱う代表的疾患というだけでなく,その治療モダリティに関しては,異論の多い代表的疾患でもあるためである。予防的抗菌薬,栄養療法,血液浄化療法,外科的手術の適応とタイミングなど,枚挙にいとまがない。さらには「日本のメインストリーム(注1)は知っているがその根拠はどのようなものがあるのだろう,何が世界のメインストリームなんだろう」という疑問の解決を期待する読者が多いと予測した。そのような期待に応える特集にしようと思ったため,日本 vs. 世界の両メインストリームが並立して決着がつかないものについては,プロコン(ProCon)形式を採用した。本特集でProConが多いのは急性膵炎診療のこのような背景による。
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