特集 急性膵炎
11.「特集 急性膵炎」解説―(2)エビデンスとナラティブの狭間で急性膵炎の診療を考える
真弓 俊彦
1
Toshihiko MAYUMI
1
1一宮市立市民病院 救命救急センター
pp.736-737
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100105
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本特集号では急性膵炎でのbest evidenceと日本の現状を解説した。
急性膵炎は,全体での死亡率は10%ほどから7%台へと低下傾向にあるものの,最重症膵炎では依然として30~70%の死亡率が報告されている難治疾患である。壊死性膵炎では徹底的な膵床ドレナージなどの早期手術が行われた時代もあったが,現代では重症急性膵炎は集学的な全身管理が最も重要で,集中治療医が関与すべき病態である。
日本では,厚生省の急性膵炎診断基準や重症度判定基準が用いられてきた。また,2003年に本邦初のEBMの手法を取り入れたガイドラインとして「急性膵炎の診療ガイドライン」が発刊され,2007年,2009年に改訂されている。
今回の特集の目的は,急性膵炎での現在までのエビンデンスと日本の現状を明らかにすることである。エビンデンスが明確でなくても行われていたり,逆に質の高い研究によって有用性が明らかになっていても行われていないものがある現状をふまえて,テーマによっては「pro/con」形式で,あえて「pro」の立場,「con」の立場で議論いただくこととした。
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