特集 急性膵炎
【コラム】ERCP後膵炎のハイリスク患者に対する膵管ステント留置術―その効果と検証
峯 徹哉
1
,
川口 義明
1
,
下瀬川 徹
2
,
森實 敏夫
3
Tetsuya MINE
1
,
Yoshiaki KAWAGUCHI
1
,
Toru SIMOSEGAWA
2
,
Toshio MORIZANE
3
1東海大学医学部 消化器内科
2東北大学医学部 消化器病態学
3国際福祉医療大学 塩谷病院 消化器内科
pp.728-731
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100103
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ERCP*1後膵炎は古くて新しい問題であり,その原因は明確ではなく,さまざまな因子が関係していると考えられている1)。しかし,ERCP後膵炎は,重症例では死亡に至ることもあり,その対策は重要な問題である。では,ERCP後膵炎を予防するためにどうすればいいのか。その因子は,原因別に①患者の因子,②術者の因子,③手技自体の因子に分類される。患者の因子としては,女性,若年齢,ERCP後膵炎になった既往などが挙げられる。術者あるいは手技の因子としては,経験不足,内視鏡的乳頭括約筋切開術(ES),内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)2),プレカット術precutなどが挙げられる(表1)。いずれにしても,ERCP後膵炎を予防するためには,①原因となる因子を見つけて排除すること,②原因となる因子と考えられるものに対し予防的な対策をとることが必要であると思われる。
具体的に,手技に伴う因子としては,①膵管の機械的損傷,②造影剤の注入のしすぎ,③造影剤注入に伴うアレルギー反応,④腸液の膵管内注入,⑤感染の影響,⑥熱による損傷,などが考えられている。ERCP後膵炎の原因として①②に伴う術後の十二指腸主乳頭浮腫も主な因子として挙げられ,それに対し膵管ステント留置術は注入した造影剤あるいは膵液の流出を促す効果が期待されているが,必ずしも効果があるという報告だけではない。そこで,我々の施設でRCTを行い,その結果を含めたメタ解析を行い,ERCP後の膵管ステント留置術が有効であることを述べる。
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