連載 集中治療に役立つ内科ベッドサイド診断学(米国内科専門医の内科診断学)
第10回:人工呼吸器管理患者のエマージェンシー診断学
荒井 隆志
1
,
平岡 栄治
1
1神戸大学医学部附属病院 総合内科
pp.554-569
発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100077
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集中治療医が常駐し,人工呼吸器管理中の患者をすべて管理している集中治療室(ICU)を閉鎖型ICUと呼ぶ。一方,主治医(内科医,外科医など)が,引き続きICUでも管理する場合は,開放型ICUと呼ぶ。閉鎖型ICUは,まだ日本では非常にまれである。米国ですら多くのICUは開放型であり,集中治療医が主治医として治療しているのは,全ICU患者の37%にすぎない1)ようである。したがって,集中治療医だけでなく重症疾患を診ることが多い一般医(内科医,外科医)も,人工呼吸器管理中の患者について精通しておく必要がある。
人工呼吸器管理中の患者はその他の患者と異なり,鎮静されていたり,意識障害があったりして,苦痛や症状を十分に訴えることができないことも多い。したがって,何かトラブルが生じても発見が遅れる可能性がある。すみやかにトラブルを発見し,原因を追及するためには,人工呼吸器管理中の患者の身体所見やモニターが重要な役割を果たす。本稿では人工呼吸器のエマージェンシーについて,身体所見,人工呼吸器モニターに焦点を当て,症例を示し解説する。
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