特集 Infection Control
9.手術部位感染
星 寿和
1
Hisakazu HOSHI
1
1University of Iowa 腫瘍外科
pp.51-60
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100009
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手術部位感染surgical site infection(SSI)の予防の歴史は,外科の歴史といっても過言ではない。外科手術は,その侵襲的な性質により皮膚または粘膜のバリア機能を障害し,生体を外的および内的な微生物に曝露する。消毒法の進歩,抗菌薬の開発によりSSIの致死率は減少したものの,いまだにSSIがなくなることはなく,米国疾病対策センターCenters for Disease Control and Prevention(CDC)の試算では,2007年の発生件数は290485件,術後感染症の38%,医療関連感染症の19%を占め,治療のために1件につき100万~250万円の医療資源と医療費を費やしている1)。SSIの予防の重要性について議論の余地はないが,その発生には複数の因子がからんでおり,臨床現場ではコントロールが非常に難しいのが現実である。
本稿では,1999年にCDCにより発表されたSSIの定義および発生要因を簡潔にレビューした後,予防的抗菌薬投与について最新のデータを基に検討する。
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