感染症が見える! グラム染色に基づく抗菌薬療法[22]
手術部位感染症
谷口 智宏
1
,
遠藤 和郎
2
1大阪医療センター免疫感染症科
2沖縄県立中部病院内科・感染症グループ
pp.810-814
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101519
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症例:77歳の女性,ADLは自立.
主訴:発熱と悪寒.
【現病歴】僧帽弁狭窄症に対して僧帽弁置換術を施行し,一般病棟に転床した.術後7日目の夕方に37.4℃の微熱があり,夜には悪寒とともに38.3℃まで上昇した.
【既往歴】高血圧.僧帽弁狭窄症.慢性心房細動.アレルギーなし.内服薬;AT1受容体拮抗薬(ARB),β受容体拮抗薬,利尿薬(フロセミドとスピロノラクトン),ジゴキシン,ワーファリン®.
【生活歴】喫煙・飲酒なし.
【身体所見】身長145cm,体重44kg.バイタルサイン;血圧160/80mmHg,脈拍95/分,呼吸数18/分,体温38.3℃,SpO2 98%(室内気).全身状態;悪くない.頭頸部;貧血・黄疸なし,口腔内衛生は良好,頸部リンパ節腫脹なし.胸部;喘鳴(wheeze)・湿性ラ音(crackle)なし.心音;不整,心雑音なし,わずかに心膜摩擦音あり.腹部;平坦軟,圧痛なし.背部;CVA(肋骨脊椎角)叩打痛なし.皮膚;胸骨切開部軽度発赤あり,心窩部のペーシングワイヤー刺入部に発赤なし,左手背の末梢静脈カテーテル刺入部に発赤なし.
【検査所見】
血液検査;WBC 10,800/μl,Hb 13g/dl,Hct 40%,Plt 13×104/μl,Na 134mEq/l,K 4.6mEq/l,Cl 96mEq/l,BUN 16mg/dl,Cr 0.7mg/dl,Glu 162mg/dl,AST 25IU/l,ALT 22IU/l,CRP 4.4mg/dl,PT INR 2.6.
尿検査;白血球1~4/HPF,菌なし.
胸部X線;浸潤影なし.
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