特集 Infection Control
3.隔離予防策
森澤 雄司
1
Yuji MORISAWA
1
1自治医科大学附属病院 感染制御部
pp.11-17
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100003
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医療技術の進歩や管理基準の向上,医療従事者の熱意と誠意にもかかわらず,病院はそれ自体が感染症の温床であり,医療関連感染防止対策はすべての医療従事者にとって,常に最重要の課題の1つであり続けている。医療行為には必ず内在する感染症リスクがあり,血管内留置カテーテル関連血流感染症や外科手術部位感染症など,語弊を恐れず言えば「起こるべくして起こる」合併症を,医療従事者の不断の努力によって防止しているのである。日常的なケアのどこかに些細な破綻があっただけで重大な結果をもたらしてしまう。
また,病院という限定された空間のなかで多数の患者に抗菌薬が投与されている状況は抗菌薬耐性菌を集約することとなり,一般社会においては極めてまれな高度耐性菌が病院では日常的に跋扈している。高齢化社会に伴う患者数の増加,医療の高度先進化の一方で,医療費削減が求められている現状では,病院も経費削減が経営上の必要課題となり,医療の現場ではますます少なくなるスタッフの人数や予算によって多くの業務を負担しなければならない。その結果として,患者と医療従事者の双方の安全が脅かされている。
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