連載 2024のシェヘラザードたち 第6夜
危機と反実仮想
中村 京一
1
1塩田記念病院 麻酔科
pp.805-809
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101203010
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シェヘラザードは,宰相のお嬢様。美しく聡明で,優しく語りかける。一方,僕は,房総生まれの田舎者。愚鈍で,懐狭く,後輩への当たりも強い。医師人生を乗り切る道標を示してくれる縁者はおらず,財力もなかった。経歴も,医局に属さない異端児で,アカデミアで正当な麻酔学を修得していない。ただ,ただ,故郷の手術室の維持に努めてきた。そんな麻酔科医モドキの僕が,若きエリート諸士に麻酔学や困難症例を語っても,釈迦に説法,愚の骨頂かなと思う。
そこで,能登半島地震発災の本年,あの東日本大震災発生時に僕が犯した判断ミスを書くことにした。
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