憧鉄雑感
第121回 仮想空間での学術集会
安部 正敏
1
Masatoshi ABE
1
1医療法人社団 廣仁会 札幌皮膚科クリニック
pp.601-601
発行日 2022年4月1日
Published Date 2022/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000003220
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鉄道利用の際必須であった切符はICカードの登場によりその使用頻度は低下する一方である。さらに,購入方法も変化しており,事前にインターネットで旅客自ら準備し自動券売機で受け取ることも多くなった。このため駅の有人出札窓口は激減しており,数年後にはその存在が珍しくなる時代がそこまで来ている。鉄道各社は “お客様のご利用形態の変化” と説明するが,要は体のいい合理化である。施設整備など固定費が多い事業形態では,人件費の削減が合理化のカギを握る。出札業務などは直接安全を脅かす訳ではなく,顧客自身で対応可能と判断されても仕方がない。しかし,一口に切符といってもその仕組は奥深く,筆者の如く旅客営業規則に精通しなければ発券できない。おまけに,学割など証明書提示が必要なこともあり自動券売機では対応できない場合も多い。そこで近年急速に増加したのがリモート通信機能を持つ自動券売機である。JRの指定券発券システムを “マルス” と呼ぶが,アシストマルスと呼ばれるそれはコールセンターと接続し遠隔サービスを行うもので自動券売機より旅客に優しい。本機種は大規模拠点駅にも導入され有人出札窓口と併存する奇妙な光景も見られる。しかし,これは旅客に本システムを慣らす目的であり,要は有人窓口を廃する前兆である。
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