症例ライブラリー 無痛分娩中の帝王切開
胎児機能不全を認める妊婦への無痛分娩
濱場 啓史
1
,
橘 一也
1
Hirofumi HAMABA
1
,
Kazuya TACHIBANA
1
1大阪母子医療センター 麻酔科
キーワード:
胎児機能不全
,
臍帯圧迫
,
羊水過少
,
硬膜穿刺硬膜外鎮痛
,
DPE
Keyword:
胎児機能不全
,
臍帯圧迫
,
羊水過少
,
硬膜穿刺硬膜外鎮痛
,
DPE
pp.126-129
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202819
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■症例
35歳の女性。初産婦。身長156cm,体重86kg(非妊娠時体重73kg,BMI 30kg/m2)。妊娠経過に特記すべき問題はなかった。痛みに弱いとのことで,妊娠判明時より無痛分娩の希望が強かった。
妊娠39週2日に前期破水のため来院し,経過観察目的のために入院した。翌日,6〜7分間隔で規則的,有痛性の子宮収縮を認めているとのことで,分娩室に入室する旨の連絡を受けた。
■経過
入室後,内診所見は子宮口開大2cm,展退度70%,station -3であった。胎児心拍数陣痛図cardiotocogram(CTG)で胎児心拍がうまくトレースできておらず,産科医が呼ばれ精査を行っている。母体のバイタルサインは,血圧132/83mmHg,心拍数73bpm,経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)99%であった。
エコー中に胎児一過性徐脈を認めたようだがすみやかに回復しており,常位胎盤早期剝離など明らかな徐脈の原因は特定されなかった。CTGで胎児心拍数は130bpm,中等度の基線細変動を認めるが,最下点80bpmの変動一過性徐脈variable decelerationを繰り返しており,経過中に約3分の遷延一過性徐脈prolonged decelerationも1回認められた。
子宮収縮はまだ弱いが妊婦は陣痛のたびに顔をしかめており,「まだ無痛分娩できないんですか?」と訴えている。しかし産科医からは,緊急帝王切開術の可能性があるためもう少し無痛分娩導入を待ってほしいと言われている。
さて,あなたならどうする?
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