徹底分析シリーズ すべての人に適切な医療を—こころの病気がある人に麻酔科医ができること
興奮患者への対応法—精神疾患急性期・急性増悪での興奮の静穏化および術後の興奮への対処
八田 耕太郎
1,2
Kotaro HATTA
1,2
1順天堂大学大学院医学研究科 精神・行動科学
2順天堂大学医学部附属練馬病院 メンタルクリニック
pp.876-880
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202643
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本稿は,手術を必要とする患者が興奮を呈する場合,手術にもっていくためにいかに静穏化するか,そして,術後に出現する興奮をどう捉え,どう対応するかについて概説する。前者は典型的には精神科救急的な事例であり,その内訳は統合失調症などの精神疾患急性期や急性増悪,身体疾患に起因する精神障害,および物質惹起の精神障害がある。加えて近年は高齢人口の増加に伴い,認知症に伴う行動・心理症状behavioral and psychological symptoms of dementia(BPSD)としての興奮もある。術後に出現する興奮は主にせん妄であるが,一部BPSDもある。術前に安定していた統合失調症などの患者は,抗精神病薬を継続できていれば術後せん妄を呈することは少ない。
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