徹底分析シリーズ 気道管理“気導道”免許皆伝を目指して(前編)
巻頭言
鈴木 昭広
1
1自治医科大学附属病院 周術期センター
pp.399
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202507
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- 文献概要
4月から麻酔科専門医を目指す1年目の読者に伝えることとして,ABCのA,気道管理を選んだ。気道管理は麻酔科医にとって,他科を圧倒する経験数を誇る専売特許であり,日々鍛錬を続けられるスキルである。その目的は酸素を取り込み,二酸化炭素を排出する通り道の確保だが,普段の臨床でなにげなく,湯水のごとく利用している酸素が,麻酔科医が扱う最も重要な「薬」だと考えたことはあるだろうか?
手術に来るような健康体を相手にすることが多いと,つい,酸素が薬であることを忘れてしまいそうになる。スイスの医師パラケルススは,「世の中の物質はすべて毒であり,用量が毒と薬を分ける」という格言を残している。酸素も薬であり,かつ,毒なのである。酸素を薬として活用するため,本徹底分析シリーズでは気管挿管前の正しい酸素化とは何か,適切な体位の取り方とその意義,意識消失に伴う上気道閉塞とやがて来る低酸素血症への対応,気道確保の強力なツールであるトリプルエアウェイマニューバーの奥義,術中慣習的にFIO2=0.4で管理するとき,酸素は薬か,それとも毒か? 術中管理のパートナーであるはずのオピオイドがわれわれを裏切るリスクについて,など幅広い話題をエキスパートに解説してもらった。他科の医師から,気道管理の師と認められるためにも,われわれは予定手術患者,急変患者にかかわらず,常に最善の対応を実践したいものである。他科に隙をみせないために,今一度,基本を押さえておこう。
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