徹底分析シリーズ この症例 全身麻酔は可能ですか?—麻酔のリスクをどう評価するか
コラム:感染症医が手術はダメとするのはどんなとき?—COVID-19に焦点を当てて
松尾 貴公
1,2,3
Takahiro MATSUO
1,2,3
1聖路加国際病院 感染症科
2テキサス大学ヒューストン校
3アンダーソンがんセンター 感染症科
pp.56-58
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202427
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全身麻酔はやめたほうがいいと考える最も多い理由の一つが急性上気道感染症である。COVID-19によるパンデミックに伴い,国内のみならず世界的に多くの予定手術が延期となってきた。これまでのその他の呼吸器感染症と同様,全身麻酔を伴う手術をいつ行うべきかに関しては,麻酔科医にとって非常に頭を抱える問題であると推察する。COVID-19患者における全身麻酔を伴う手術の可否やそのタイミングに関しては,多くの議論がなされてきた。結論から述べると,COVID-19罹患後7〜8週間以内の手術では,呼吸器関連合併症と死亡率のリスクが増加することが明らかにされている。したがって,手術を行うかどうかの判断は,これらのリスクと手術の緊急度により決定されるべきである。
本稿では,これまでの主要文献を紹介しながらCOVID-19に罹患した患者の予定手術のリスクや時期に関して詳述する。
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