特集 COVID-19
各論
COVID-19に対する感染対策 【コラム】台湾におけるコロナ肺炎(COVID-19)への感染予防対策の展開
紀 鑫
1
,
江原 伯陽
2
HSIN Chi
1
,
EBARA Hakuyo
2
1Dept. of Pediatric Infectious Disease, MacKay Children’s Hospital, Taiwan
2エバラこどもクリニック
pp.143-147
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000026
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序 文
コロナ肺炎(COVID-19)の感染症例では,小児は成人の感染率よりも低く,台湾の統計によると,9歳未満の感染児は約508人,10歳以上20歳未満は560人,全国感染症例全体の約2~5%を占めている。現在,台湾では小児のコロナ肺炎による死亡例はない。医学的な研究において,小児の肺のACE2受容体が成人のアンジオテンシン変換酵素Ⅱ(ACE2)受容体よりも有意に少ないことを確認しているので,小児はウイルスの曝露による感染が成人に対してより少ないことを確認した1)。もう一つ考えられるのは,小児の免疫系が完全に発達していないことであり,成人よりもサイトカインストーム(cytokine storm syndrome)をひき起こす可能性が低いことである。感染した乳児および小児の臨床症状は,主に軽ないし中等症であり,無症候性の割合は成人よりも高く,発熱,咳,全身の衰弱,筋肉痛などの一般的な症状は,食欲不振,下痢,嘔吐などの成人特有の症状と比較して多い。
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