症例カンファレンス
重症大動脈弁狭窄症患者の褐色細胞腫摘出術
外山 裕章
1
,
高橋 佳奈子
2
,
高田 祥子
3
,
林 行雄
4
,
一ノ宮 大雅
5
Kanako TAKAHASHI
2
,
Shoko TAKADA
3
,
Yukio HAYASHI
4
,
Taiga ICHINOMIYA
5
1東北大学医学部 麻酔科学・周術期医学分野
2SUBARU健康保険組合太田記念病院 麻酔科
3大阪警察病院 麻酔・集中治療科
4公立八鹿病院 麻酔科
5長崎大学大学院 麻酔集中治療医学
pp.1013-1031
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202362
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
循環器系疾患へのカテーテル治療が進化した現在,重症循環器疾患合併症例に対する非心臓手術は増加の一途である。非心臓手術が必要な原疾患に対する治療が先か,循環器疾患への治療介入が先か,は常に議論の的である。多くの場合,周術期管理を実施する際に生命危機に最も直結する疾患を抽出し,患者の総合的な生命予後も考慮して,治療介入の順番を決定することが多いであろう。多職種でディスカッションを行う施設もあれば,主治医,循環器内科or麻酔科の一存で決定する,という施設もあるかもしれない。『2022年改訂版 非心臓手術における合併心疾患の評価と管理に関するガイドライン』では,介入の順番については「関係する多専門科集学的チームが包括的に吟味し,患者の価値観を理解し,患者と協働意思決定をすることが重要である」としているが,現場での決定は一筋縄ではいかないことも多い。本症例カンファレンスもそのような症例である。各施設の経験にもとづいた治療介入の方法は学ぶことも多い。また,本症例の実際の経過を見ていただくことで,根本に立ち返り,「人間の寿命」と「手術適応」に対し,今後,麻酔科医としてどう向き合うか,も考えていただけると幸いである。
Copyright © 2022, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.