徹底分析シリーズ カテーテルアブレーションの麻酔
血管造影室における麻酔・鎮静管理の問題点—麻酔科医には循環器内科と看護師の教育に一役買ってほしい
宮内 靖史
1
Yasushi MIYAUCHI
1
1日本医科大学千葉北総病院 循環器内科
pp.176-180
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202182
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カテーテルアブレーションは,血管造影室にて鎮静または全身麻酔下に行われることが多い。特に,心房細動atrial fibrillation(AF)に対するカテーテルアブレーションは手技時間が長く(3.1±1.2時間),左房後壁の焼灼時の疼痛を伴うため鎮静が欠かせない。米国における無作為化比較試験で,発作性心房細動に対するカテーテルアブレーションを全身麻酔で行った群は意識下鎮静で行った群よりも手技時間や透視時間が短く,術後の洞調律維持率が有意に高い(88% vs. 69%)と報告され1),欧米では全身麻酔下に行われることが多い。カテーテル心筋焼灼術は1994年に保険償還が認められた手技であり,当時は発作性上室頻拍paroxysmal supraventricular tachycardia(PSVT)などの最小限鎮静で十分に行い得る症例がほとんどであった。2000年頃から心房細動が治療対象となり,現在ではカテーテルアブレーションの7割を心房細動が占めるようになった。日本医科大学千葉北総病院(以下,当院)を含め古くからカテーテルアブレーションを行っている施設では,自科鎮静のまま最小限鎮静から深鎮静や全身麻酔にシフトしていった。循環器内科医が鎮静・麻酔も行うことが半ば常識・常態化しており,新規参入施設でも自科鎮静を行う施設がほとんどである。
このような現状を踏まえ,本稿では循環器内科医(=非麻酔科医)が行うカテーテルアブレーション時の鎮静の現状とその問題点を述べ,今後,麻酔科医がどのように関与すればよいかを循環器内科の立場で考察する。
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